学長室だより

季節の循環の中で今を生きる

大学の周りの田んぼでは田植えが始まりました。夜7時になると水を張った田んぼからカエルの大合唱が聞こえます。風にそよぐ青々とした苗と田んぼに雲が映る美しい風景がもうすぐ見えるようになります。連休はいかがお過ごしでしたか?私は一日を使って、木をチェーンソーで玉切りにして、薪割りをして(薪割りは練習中でまだヘタですが、パカーンと割れた時の気持ちよいこと!)、冬の薪ストーブの備えを始めました。5月に田植えをして、9月に稲刈りをする。前の年に豆と麹と塩を合わせて寝かせて、翌年できた味噌を食べる。1、2年先の冬のために春から薪の用意をする。そんな季節の循環の中の労働がとても心地よく、使い古しの布のようなやわらかい手触りを連想させるのは、ポチッと押すだけでモノが買えて、誰かが苦労して届けてくれるという何もしないで手に入れる生活に浸っているからかもしれません。

キャンパス周辺の田植えも始まりました

キャンパス周辺の田植えも始まりました


 

先月、海外に縁のある卒業生が2人訪ねてくれました。子育て真っ最中で楽しいことも悩みもあるようです。楽しいおしゃべりをした後で、猛烈に忙しい毎日を送っている若い方々にお伝えしたのは、子どもが大きくなったら何かご褒美が来るのではなくて、今がご褒美なんだよ、ということ。日本社会はとかく「よい」大学、「よい」会社へと先の目標のためにがんばらせる社会。だけれども人生は「今」が重なっているものだから、今を大事に生きてほしいです。(金山 愛子)