学長室だより
英米絵本の愉しみと吉田新一先生

金山学長からの式辞
後期入学生4人が無事に新発田市に到着して、入学式を挙行しました。ご家族や慣れ親しんだ土地を離れて勇気をもってやってきた若者が、よき友や師と出会い、真理を探究し、自分の夢を叶えることができるように、やがて平和の作り手となるようにと、母国で見守っているご家族に思いをはせつつ下田尾治郎宗教部長と祈りを合わせました。
9月末には本年2月にご逝去された立教大学名誉教授の吉田新一先生を偲ぶ会に参加してきました。吉田先生と関係の深い大東文化大学ビアトリクス・ポター資料館館長の河野芳英先生、軽井沢絵本の森美術館館長の土屋芳春先生、ピーターラビット友の会元事務局長の中村柾子先生が企画してくださいました。吉田先生は本学の公開講座で英米絵本や日本の絵本について講義してくださり、私は絵本については吉田先生から教えていただきました。写真が趣味の先生は、絵本を一枚一枚写真に撮り、スライドにして解説してくださるだけでなく、特に19世紀イギリスの絵本作家コールデコットの貴重な絵本では、文字がない絵だけのページでも江戸っ子弁の吉田節で次々と物語が紡ぎ出されるのを驚きつつ聞き入ったものです。毎年2回の週末を使って実施する講座は講師の先生には過酷な講座でしたが、吉田先生は7年も引き受けてくださいました。受講生も遠くは神戸や愛媛からおいでいただき、当時おいでくださった方々にも偲ぶ会で再会できました。

本学のオープンカレッジで講義してくださる吉田新一先生
偲ぶ会では50人ほどの参加者が円になって座り、皆が1分ずつ吉田先生との思い出や先生への感謝の言葉を話し、最後に奥さまからお話をいただきました。イギリスの物語に出てくるお菓子や料理の研究をしておられる北野佐久子さんも先生のお弟子さんです。北野さんは、卒業論文でこのテーマを取り上げたいと先生に言ったら、「そんなテーマを考えた人はあなたが初めてです」と驚かれつつも、「卒業論文で選んだテーマは一生あなたについていきます」とお話されたとか。その言葉が何十年も北野さんの背中を押し続け、素敵な本が生まれているようです。大学で見つけた問いがライフワークになる人生っていいですね。大学の授業や学会で、出版された本や対談を通じて、公開講座やビアトリクス・ポターが生きた湖水地方への旅の中で、吉田先生は研究成果を惜しみなく分かち合ってくださいました。研究者として、人としてのあるべき姿を先生から最後にもう一度教えていただきました。(金山愛子)










