学長室だより

主なる神の導きにより

不思議な機縁でとしか言いようがない経緯を経て、この度、敬和学園大学の学長に就任しました。3年ほど前に、新潟を去り東京に戻ろうと決断していていたからです。失意の中にあったわたくしに、前任校の友人から人文社会科学の学問的な拠点を作るため手を貸して欲しいと頼まれ、試行錯誤の後、19世紀学学会という国際学会を設立させました。またそれと同時に、前任校に19世紀学研究所の礎を据えることができたのです。それを機縁に、新しい出会いが与えられ、多くの方々の協力を得るに至り、その友情に心を動かされ、新潟の地に留まる決断をした次第です。そして、その延長線上に、この度の話しが持ち込まれたのです。偶然とはいえ、キリスト教の建学精神をもった敬和学園大学に学長として就任するとは、3年前の状況からは、予想することすら困難でした。
旧約聖書学を専門とするわたくしには、この人事は、神からの召命としてしか受け止めようがないものとなりました。人生の転換期に遭遇したこの「奇跡」を真摯に受け止め、敬和学園大学のため、つまりは学生諸君や教職員のため、一身を捧げて生きる所存です。キリスト教の精神は、神の愛に支えられていますが、善きサマリア人の譬えにあるように、神と人に仕える人材、他者のために、誰かのために生きることのできる人材を世に送り出したいと願ってやみません。(鈴木 佳秀)