学長室だより

時の記念日に

大日岳から雪渓が消えて緑色の山になりました。その背後の飯豊山系の山間には、まだ雪渓が見えます。6月10日は日本で最初に時刻を知らせた日から「時の記念日」と定められています。日本書紀によれば、天智天皇の時代の671年6月10日に、水時計によって時を知らせた日のことが記されています。

雪渓が残る山々から湧き上がる入道雲

雪渓が残る山々から湧き上がる入道雲

日本では元来、月の満ち欠けに基づいたひと月29日余りの太陰暦を用いていました。太陰暦では月の上旬・中旬・下旬という言葉に象徴されるように、ひと月の中で10日間(旬)を一つの単位にしていました。それは毎月1のつく日、3のつく日、6日のつく日、10日のつく日にそれぞれ市(いち)が立っていたことから、「一日市」(ひといち)「三日市」「六日町」「十日町」などの地名が残っていることからも分かります。

日本は1873年2月に太陽暦を採用することにしました。太陽暦では創世記1章に基づいて、一週間7日がひと月の単位となっています。太陰暦と太陽暦の間には1か月近いずれがあります。2月18日の「学長室だより」で、東アジアの国々では旧正月を祝う習慣があることを紹介しました。日本には3月3日のひな祭り、5月5日の端午の節句、7月7日の七夕などを、旧暦に合わせて約ひと月遅れで祝う習慣が残っている地方もあります。時間を大切にすると共にそれぞれの地方の習慣も大切にしたいですね。(山田 耕太)