学長室だより

2022年度後期入学式式辞(山田耕太学長)

山田耕太学長からの式辞

山田耕太学長からの式辞

 

敬和学園大学ご入学おめでとうございます。本学は学生数740人ほど、教職員60人ほどの小さな大学です。大学をあげてご入学を歓迎します。本学は今年で開学32年目です。昨日は前期卒業式があり、6人の学生が卒業しました。その6人を加えて、4,705人の卒業生を社会に送り出しています。卒業生は新潟を中心にして各界で活躍しています。

本学は人文系の単科大学ですが、国際文化学科・英語文化コミュニケーション学科・共生社会学科の3学科9コースで構成されて、また学科を越えた7つのディプロマ・プログラムで構成されたカリキュラムが用意されています、前期と後期を合わせて400科目を提供しています。学科やコースの壁は低く履修可能で、小さな総合大学といえると思います。

本学の教育は次のミッション・ステートメント(教育方針)に記されています。「敬和学園大学は、キリスト教主義に基づく自由かつ敬虔な学風の中で、リベラルアーツ教育を行い、グローバルな視点で考え、対話とコミュニケーションとボランティア精神を重んじ、隣人に仕える国際的教養人を育成します。」

ミッション・ステートメントでは次の3つの教育の柱が示されています。第1に、一人ひとりの存在を大切にするキリスト教教育。第2に、地球規模の視野を持つ国際理解教育。第3に、地域社会で活躍する地域貢献教育です。現在は、地域貢献教育に力を入れて、ボランティア活動やアクティブラーニングをサービスラーニングに統合化しつつ、また地域社会の若者を地域社会の担い手に育てていく地域循環型教育に力を入れています。この3つの教育方針に基づいて「あなたたちは真理を知り、真理はあなたたちを自由にする」(ヨハネ8:32)というリベラルアーツ教育を推し進めています。

大学は面白いところです。しかし、小・中学校や従来の高校と同じように先生が中心で学生が受け身の学びの姿勢では、大学は面白いところになりません。積極的な学びの姿勢を身につけてくると大学は面白いところになってきます。
「求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば、開かれる。」(マタイ7:7)。ここに受け身の姿勢から能動的で積極的な姿勢に転換していくポイントがあります。

「求めなさい」すなわち探求の始めは、問いをもつこと、疑問をもつことから始まります。問いには「いつ・だれが・何を・どうした」という内容を確認する「確認の問い」と「なぜ・どうして」という探求を始める「探求の問い」に分かれます。探求の入り口になるのは後者です。探求を続けていくのは、「探しなさい」という言葉で述べられた自分の目や手や頭を使って「調べること」で継続されます。探求の手を緩めずに、「見つかる」まで探し求めるのです。そのためには門が開かれるまで「門をたたく(たたき続ける)」必要があります。自分が納得できる解答を見つけるまで「門をたたき続ける」のです。そうすると自ずと門が「開かれる」のです。すなわち、自分が納得できる解答が与えられるのです。教員の説明に納得するだけではなく、疑問を持ち、その疑問から自分が納得できる解答を得るまで探し求めてみましょう。こうすると大学は面白いところとなります。

入学のお祝いにもう1つ聖書の言葉をお送りします。「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。」(ローマ12:15)。共生社会学科の学びは、基本的には対人サービスの学びが中心になっています。そこでは、相手の人と同じ目線に立って、相手の人の立場と人間的な心に共感しつつ配慮をすることが大切になってきます。この大学での人々との出会いや学びとの出合いをとおして、ご自分に与えられた課題に気づいて、探求の学びが祝されますように心からお祈り申し上げます。

2022年9月15日
敬和学園大学長 山田耕太