チャペルのひびき
差別のない社会のために
ご自身の今にいたるお働きの原点とのいうべき学生時代に起こった出来事について、先週のチャペルで藤野豊先生が語ってくださいました。平和の名のもとに、暴力が横行し、そのために学内の教室において大切なご友人が殺害されたとのお話は、現代の学生にとっても、また、学生運動が沈静化したのちに大学生活を送った者にとっても衝撃的でありました。その痛みと悲しみの日を心に刻みつつ、一人ひとりの命が等しく尊ばれるような社会を暴力によらずに形作るためにこれまで歩んでこられ、またこれからも歩み続けるだろうことを先生はお話しくださいました。先生のそうしたお働きの根本に、神より与えられた命の尊厳に関する聖書の教えがあることを知ることが出来たのも幸いでした。アッセンブリ・アワーにおいては、藤野先生のお話を受けるようなかたちで、長谷川サナエ先生(新発田市人権のまちづくり審議会副会長・部落解放同盟新発田住吉支部長)が、新発田の町に今もなお根深く存続し、理不尽な苦しみを多くの人々に与えている差別のありようをお話しくださいました。この問題に無関心であってはならないと改めて教えられました。聖書は、イエスは、人と人との隔ての壁を取り去ってくださる方であると告げています。差別される者たちを理不尽な重荷より解き放つと同時に、差別する側の者たちの心をも解き放ち、双方を一つに結ぶために主イエスは私たちのもとに来てくださったのです。その歩みを心に刻み、従う者となりたく思います。(下田尾 治郎)
Ⅰ.チャペル・アワー
説 教 「 1972年11月8日 」 教授 藤野 豊 先生
Ⅱ.アッセンブリ・アワー
講 話 「 だれもが輝いて生きるために~差別を許さない自分づくり~ 」 新発田市人権のまちづくり審議会副会長・部落解放同盟新発田住吉支部長 長谷川 サナエ 先生
〈参加学生の感想〉
感想1)部落差別はとても深刻な問題であり、中学や高校でもこの問題に取り組んできた。現代でもこのような差別が残っているということは、考えにくいと考えていたが、自分の知らないところで差別に苦しんでいるのだと思った。長谷川さんが語った就職・結婚の差別は、とても理不尽で悲しいものだった。また、新発田周辺というごく身近な地域で、実際に部落差別が存在していたことにとても驚いた。部落差別という問題を、自分とは無関係なものだと思わず真剣に考え、撲滅意識を持つべきだと思った。
感想2)藤野先生の話は、とても興味深いものでした。反対運動に参加していて、暴力派に自分の友だちが殺されるという本当に悲惨な体験をしたのだと思いました。この当時は、暴力や人を殺すことを「革命」のひと言で済まされていた時代で、本当に間違っていると思いました。同じ人間なのに、そこで簡単に人が殺されて、反対派は死んでもいいと思っていた人たちが普通にいるというのがとても恐ろしいと思いました。キリスト教の精神を反映させていることに本当に尊敬します。
感想3)一人ひとりが差別についての認識がないところが、人間の悪いところだと思いました。キリスト教学では、人間は知ることで愛を失う醜い場面があるが、神は平等に愛すると学びました。この話でいくと人は、差別された地域で生まれたと知れば、その人を仲間外れにしてしまうということです。人間はそのような悪い部分を持っていますが、そうではなくて、正しい道徳を学び、差別だということを認識させなければいつまでも差別はなくならないし、人間の醜いところもなくならないと思いました。