チャペルのひびき

平和への問いかけと責任

チャペル・アワーは、本学が教育の柱と掲げるリベラルアーツとキリスト教主義について、「レジリエンス」との言葉のもとに考えてみました。リベラルアーツ教育の目的の一つは、さまざまな学びを通して、世界を、また人間の生をさまざまな視点から見つめることを可能とする複眼思考を養うこと。そのことを通して得られることに、世界や人生に対する際のしなやかさ(謙虚なしたたかさ)、よしや人生の途上にあって行き詰まりを感じ、くず折れることがあっても、そこから立ち直り、歩み直すことを可能とする力(レジリエンス)があると考えます。キリスト教主義教育が伝えようとする大切な事柄の一つもまた、このレジリエンスに他なりません。世界が悲観的(絶望的)にしか目に映らない時、自分の人生の歩みに先が見えないような時であっても、異なる言葉の光のもとで、もう一度、世界や自らの生を読み直し、歩み直す力を与えてくれる書物が聖書であることを覚えていただけたらと思います。引き続くアッセンブリ・アワーでは、夏期休暇を利用して平和学習プログラムに参加した学生たちの報告の時として守りました。ご自身の経験を分かち合ってくれたのは、広島女学院大学主催のプログラムに参加した2年生の小黒美羽さんと寺沢慈さん、そして敬和学園高校の恩師、友人たちと広島と長崎の被爆地を訪ねた1年生の豊田頌さんです。学びの経験を通して彼(女)らの抱いた「平和とは何か」、また「平和を作り出すために何ができるか」との真摯な問いかけが、聞く者一人ひとりにも重く響きました。被爆国日本に生きる私たち一人ひとりが平和への責任を負っていることを心に刻みたいと思います。(下田尾 治郎)

Ⅰ.チャペル・アワー 
説教 「レジリエンス-立ち直る力」 宗教部長 下田尾治郎 先生
20181005チャペル・アッセンブリ・アワー1

Ⅱ.アッセンブリ・アワー
講話 「広島8.6平和学習プログラムに参加して」 
英語文化コミュニケーション学科2年 小黒美羽
英語文化コミュニケーション学科2年 寺沢慈
20181005チャペル・アッセンブリ・アワー2

「広島長崎平和学習を終えて」
英語文化コミュニケーション学科1年 豊田頌
20181005チャペル・アッセンブリ・アワー3

<参加学生の感想>
感想1) 下田尾先生から「レジリエンス-立ち直る力」と題してお話をいただいた。大学時代にブリューゲルの絵を見て感じた困難に対する意識の変化。大人と子供という曖昧な境界線を生きている私にとって大小さまざまな困難が毎日のように立ちはだかります。そんな私にとって下田尾先生のお話は有意義に楽しく生きるためのアドバイスでした。
感想2) アッセンブリ・アワーでのお話では広島・長崎に対して知ったような気でいたことを突きつけられ、被爆ということに関して改めて学んでいこうと思いました。また、被爆直後の様相を見ながら平和についての話を聞いて、私の平和についての考えの至らなさを改めて感じさせられました。同時に、原爆については絶対に風化させてはならないことだと強く感じました。これからきちんと平和とは何かということに対して考えていきたいと思いました。
感想3) 平和とは何かという問いに「争いのない世界」という考えはよいと思ったが、実際に写真を見て、「これは争いのない世界だが、平和と言えるのか?」という問いに平和とは言えないということが分かりました。私も平和に対する考えが曖昧だと感じました。原爆資料館の写真だけで、当時の被害がとても酷いものだったと知ることができました。現実に起きたできごとなのだと考えると、恐ろしく思いました。当たり前の日常の大切さについて考えさせられました。被爆の場所、時刻を正確に答えられる人が減少しているという現状はよくないと思った。私も忘れずにいようと感じました。