チャペルのひびき

闇の中から輝き出る光

チャペル・アワーでは、本学理事長の榎本榮次先生が、「コリントの信徒への手紙2」に基づき、イエス・キリストという方において輝き出た光ついて、語ってくださいました。その光は、外から灯された光にあらずして、深い闇の中から輝き出た光。そうであるがゆえに、闇深きこの世界に住む私たちにとって、並外れた力を持つのです。また、先生が語ってくださったフランスの学校教育のお話も印象に残りました。榎本先生によると、フランスでは、敢えて自国の歴史の闇(罪)の部分を、子どもたちに見せてゆくとのこと。国の豊かさとは、自国のすばらしさを、ナルシスティックに誇ることにあるのではなく、むしろ自国の歩んだ闇の部分を受け止めつつ、未来に向かってそこから光を紡ぎ出してゆくところに現れることを教えられたように思います。引き続く、アッセンブリ・アワーにおいては、阿部啓輔先生(星野文昭絵画展 in 新発田 実行委員長)が、米軍基地撤去を求める運動を繰り広げ、無実を訴え続けつつ、獄中に44年間、拘留されている星野文昭さんについてご紹介くださりました。星野さんたちの活動の根底にあったのは、「すべての人が人間らしく生きられる世界」への希求であるとのこと。また、星野さんたちの運動を阻止せんがための職務中に命を落とされた新潟県警の若き警察官への鎮魂の思いを込めた「春、希望を育む佐渡」と題された絵も見ることができました。敵対した者たちとの和解への希求のこめられたその絵に、榎本先生の語られた「闇の中から輝き出た光」を感じ取ったのは、私だけではないはずです。(下田尾 治郎)

Ⅰ.チャペル・アワー 
説教 「闇から光」 理事長 榎本榮次 先生
20191129チャペル・アッセンブリ・アワー1

Ⅱ.アッセンブリ・アワー
講話 「沖縄闘争で獄中44年 追悼・無実の星野文昭さん」 星野文昭絵画展 in 新発田 実行委員長 阿部啓輔 先生
20191129チャペル・アッセンブリ・アワー2

<参加学生の感想>
感想1) 榎本先生の「闇から光」のお話について、「闇を見ない光」は一体なんだろうかという言葉が一番印象深かった。闇深い世界の中に、光り輝くイエスが生まれたことによってどんなに辛い世の中にも必ず希望があると話されました。そして、この生きづらい世の中でも、光は絶対的な存在であるということを願って生きていきたい。
感想2) 榎本先生から「闇から光」というお話を聞いた。もうすぐ12月に入りクリスマスも近づきます。クリスマスというのは単に楽しいというものではなく、闇を知り反省をする日だと知りました。なぜクリスマスは25日なのか、私はイエス・キリストが誕生した日だからと思っていましたが、それは25日が一番暗い日であるからだと知り、本当のクリスマスのことを知りました。
感想3) 阿部先生のお話を聞き、沖縄闘争で獄中44年の人生を終えるなんて、しかも無実で、私には想像できません。しかし、これに似た状況には誰もが降りかかる可能性があると思います。こんなことがなくならないのが今の現実です。これにしっかりと向き合って生きていくことが大切だと思いました。「すべての人が人間らしく生きられる社会」を作り出したいです。
感想4) 星野さんが獄中で「実行犯」にされた事件で、亡くなった佐渡出身の警察官のために佐渡の風景を描いたことに、本当に敵だったら亡くなった警察官のために絵を描くことはないと思いました。