チャペルのひびき

民主主義の基盤にある教育

チャペル・アッセンブリ・アワーは、バンクミケルセン記念財団理事長の千葉忠夫先生をお迎えし、先生が長きにわたって深く関わられたデンマークという国について、とりわけ福祉に厚いかの国の社会のありさまや、その基盤となっている教育システムについて、知る機会を与えられました。その際、千葉先生は、一方的なかたちでのご講演ではなく、大教室を歩き回られ、会場にいる学生や教職員に問いかけ、対話するようなかたちで、私たちに、深く考える機会を提供してくださいました。民主主義とはそのような対話と討議を通して、よりよき社会を模索・構築してゆく社会システムなのでしょう。そのための備えの場として、デンマークの教育システムが整えられていることを、千葉先生は教えてくださったように思います。平和、人権、共生を教育理念として掲げる本学。それらの理念が、言葉だけに終わることなく、社会の中で実現されてゆくためにも、本学の教育のありさまを不断に民主的に整えてゆく必要を痛感いたしました。(下田尾 治郎)

Ⅰ.チャペル・アッセンブリ・アワー 
説教 「最新のデンマーク情報と日本の未来」 バンクミケルセン記念財団理事長 千葉忠夫 先生

<参加学生の感想>
感想1) デンマークと日本の制度の大きな違いに驚きました。学業面、育児、福祉など、さまざまなところへの保障が手厚く、その中で育つことによって豊かな人材・国家ができるのだと思いました。進学率は日本の方が高いのに対し、投票率はデンマークの方が高いところが特に印象に残っています。日本はデンマークに比べて労働時間が長かったり、試験の量など勉強への労力もかかるように思います。私たちはもっと余裕を持って生活してもいいのかもしれないと感じましたし、豊かさや幸福とは何かを考えさせられました。今よりも一人ひとりが自分で考え、答えを出し、対話するというのがその一歩のように思います。
感想2) 女性や障害者、高齢者の社会参加、生き生きとした生活、ノーマリゼーションの考え、民主主義を実践し対話を重んじる教育や生活、一人ひとりの個性が尊重されるなど、デンマークについてただただ感銘を受けるばかりだった。民主主義の考え方、デンマークの国民性(国民全員が共有している考え方)は、私たちにとって理想的であると感じた。デンマークの福祉や教育に対する考え方には、日本でも実践できそうなことや見習うべき要素が本当に多いと感じた。今回の学びを踏まえて、日本には何が足りないのか、どうしたら自由、平等、公平で幸せな国になるのかを考えながら生活しなければならないと強く感じた。