大地とわれわれの間
犯人不明の殺害遺体が見つかった場合、人々は呪いが到来したと受け止めたのは、罪なき血を大地が飲み込んだと理解したからです(創世記4章10節)。大地が呪われてしまうと地の実りも呪われたものとなる、それが古...
犯人不明の殺害遺体が見つかった場合、人々は呪いが到来したと受け止めたのは、罪なき血を大地が飲み込んだと理解したからです(創世記4章10節)。大地が呪われてしまうと地の実りも呪われたものとなる、それが古...
古代社会では、裁判ができない殺人事件も起こりえました。殺害された人の遺体が野原で見つかったが、犯人が分からない場合の処理について、申命記が規定しているからです(21章1節~9節)。罪なき者の血が大地の...
「目には目を」は、同害報復の形で加害者の責任を明示したものでした。他方「命には命を」の原則が存在したのは、古代社会に血の復讐という慣習が残っていたからです。殺人は死罪ですが(ウル・ナンム法典1条、出エ...
「目には目を」は、古代メソポタミアでは、復讐の拡大を防ぎ、他人に危害を加えると、金銭でなく自分の肉体をもって同じ害を償うことを義務づけ、自由人に尊厳ある行動を勧めるものでした。旧約聖書も同じ文化(レビ...
裁判員制度にちなんで法に関わる題材を選んできましたが、語り落としてはならないものに復讐法と誤解されているタリオ(同害報復刑)があります。 表題の言葉は復讐を合法化するものではありません。報復を勧める格...
神とイスラエルの契約だけで、聖書の契約思想を語ったことにならない。時空を超えた契約思想は、より深められ精神化されるに至ったからである。 預言者エレミヤは、前587年に国が滅亡する頃エルサレムで新しい契...
モーセを仲保者として神がイスラエルとの間に結んだ契約は、その世代だけのものではなかった。申命記29章13節~14節でモーセは「私は、あなたたちとだけこの契約を結びこの誓約を交わすのではない。今日われわ...
契約は祝福と呪いを伴っていた。契約を守る者には祝福が、契約を踏みにじる者には呪いが宣言されている。申命記には「あなたは町にいても祝福され、あなたが畑にいても祝福される。あなたの胎の実も、あなたの土地の...
古代メソポタミアでの商取引や売買は、契約を媒介としていた。取引には複数の証人が必要であった。主権国が他の国家群を服属させる宗主権条約(契約)では、相手に守らせる規定が言明され各国の神々が証人として召喚...
古代には子種という概念があった(創世記38章9節、民数記5章12節等)。懐妊から出産までがこの概念によって理解されていた。子供の誕生は神の祝福の象徴であったが、懐妊しないと女性は祝福に与っていないとさ...