学長室だより
喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい(2016. 4. 16. 開寮式)
寮生の皆さん、敬和学園大学学生寮への入寮おめでとうございます。新発田市での新しい学生生活を真新しい学生寮の一期生として始めることになりました。何もないところで始める苦労もありますが、一期生にしか味わえない経験でもあります。
新発田市長を始めとして、学生寮の開設ために多大のご尽力を賜りました地域社会の皆さま、さまざまなアイデアが結集され、全国でも例を見ない産官学が連携したリノベーション事業として、学生寮が開設されましたことを覚えて、心から感謝を申し上げます。
敬和学園大学は、昨年度から地域社会に定住し、地域社会を担う人を養成する、学科を越えた副専攻のプログラム「地域経営プログラム」を開始しました。それは1年生全員が新発田市・聖籠町を中心にした阿賀北の歴史・文化・社会を実地で学ぶ「地域学入門」、2年生の「アクティブ・ラーニング演習」、3年生の中長期インターンシップ、4年生の問題解決学習を目指した「地域学研究」で構成されています。
従来から街中に設置されている地域連携センターの「まちの駅よろず・新発田学研究センター」と「まちカフェ・りんく」、それに今回開設された「学生寮」の3点を中心にして、街中でアクティブラーニングを展開していき、街中を実地経験を通して主体的に学ぶ場とする「まちなかキャンパス」化を目指してまいります。こうして、今までどこにも例がない、地域再生・大学再生の教育ブログラムを次第に展開してまいります。
寮生の皆さん、学生寮は単なる生活の場ではありません。学生寮は生活の実体験を通して学ぶ教育寮です。違った生活経験や違った考えを持った学生同士が共同生活を通して、切磋琢磨して研き合って、互いにとんがって角の出ている所がぶつかりあい、次第に丸くなり、やがて心の広い寛容な人へと成長していく場なのです。こうして、自己を確立していくと共に、次第にコミュニケーション力や協調性を養っていく場でもあるのです。
先ほど読んでいただいた聖書箇所(ローマ書12:9-21)には、学生寮で共同生活を営んでいくのに、大切な点が書いてあります。数多くのことが書いてある中で、最も大切な3つの秘訣に絞って指摘したいと思います。
第一に、「尊敬をもって互いに相手を優れた者と思いなさい」(12:10)「自分を賢い者とうぬぼれてはなりません」(12:16)。お互いに謙遜で低い心をもつことです。
第二に、「悪を憎み善から離れず」(12:9)「誰に対しても悪に対して悪を返さず、すべての人の前で善を行うように心がけなさい」(12:17)。悪に対して悪で仕返ししないことです。
第三に、「貧しい人々の貧しさを自分のものとして彼らを助け、旅人をもてなすように努めなさい」(12:13)。弱い立場の人々の弱さをシェアして、もてなす心をもつことです。
以上の3点は、愛の深い大人の心の特徴です。これら3点をまとめて言うと、「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい」(12:15)となります。寮生の皆さんが、この学生寮で生活して成長し、友情を深めて心が広く深い愛の人となり、幸せな生涯を送ることができますようにお祈りいたします。(山田 耕太)