学長室だより

2007年9月28日号

9月9日の聖日、山形県鶴岡市の荘内教会にお招かれして、「荘内教会への感謝」と題する説教をした。1947年(昭和22年)3月の復活祭の日に、ひとりの英語の先生の勧めで、その先生が受ける洗礼式に出ることになった。教会というものの敷居をまたいだそれが最初の経験であり、ましてや洗礼などいうものを目撃する最初の体験となった。心に深い驚きが残った。その先生の働きのおかげと思うのだが、牧師――小川永水(はるみ)先生――は、わたしに英語の聖書一冊をくださり、しかもそれを用いて、毎週一回ずつ「マタイ福音書」を講釈してくださった。これがわたしを家の宗教である日蓮宗から離れさせ、聖書の道へと呼び込むきっかけとなった。――そう語りつつ、その後、やく60年、教会には属することはなかったが、しかし聖書そのものには堅く立とうと努めてきたわが生涯は、これも恵まれた人生よ、と思わざるをえなかった。「公同の教会」はキリストの名を告白する人びとを包んでくれる。(新井 明)