学長室だより
新年を迎えて
あけましておめでとうございます。新しい年が皆さまにとって幸せな一年となりますようお祈り申し上げます。英語の授業などで、”What’s your new year’s resolution?”(新年の決意は何ですか?)と聞かれることがありますが、皆さまの決意は何かありますか?私はこの手の質問が苦手で、気の利いたことを言おうとすると、ますます何も思い浮かばなくなります。古い年から新しい年へという流れの中で生きていて、改まったという感覚が薄いのかもしれません。思えば子どものころはそうではありませんでした。母は元日は着物を着ることが多かったと記憶しています。家父長的な大家族でしたので、普段とは違う12畳の応接間で、まずは讃美歌の「聖なる聖なる」を歌い、聖書朗読と祈祷を父がやって、おせち料理をいただきました。兄があまりにも音痴で、父が笑いをこらえられなかったこともあります。そのような景色は、年が改まった感じを強く植え付けたように思います。
年が明けて、7年ほど前に卒業した卒業生が訪ねてくれました。転職して求職期間中に、ハローワークで簿記などの資格を取らせてもらい、今は事務職をしているそうです。仕事にもAIが入ってきて、少しわからないことがあると、若い同僚はすぐにAIに聞くのだそうです。「立ち止まって考えることがない」と言っていました。大学がだんだん専門学校化していくことを心配していました。資格やスキルは後から上乗せできるけれど、本を読んだりして考える習慣なく大学を出てしまったら、いつ考えることを学ぶんだろうと。彼女たちとは授業でギリシャ悲劇を読み、簡単に答えの出せない問いを悶々と考え、お互いの考えを共有して話し合いました。5限の授業だったので、帰りのバスの中で、みんなでギリシャ悲劇についてああでもないこうでもないと話し合ったのだそうです。「あれが私の青春でした」なんて言ってくれました。薦めた本を図書館で探して借りて行ってくれたようです。大学時代は4年間と限られていますが、古典を読むことや考えることに浸ってほしいと思います。この文章を書いていたら、学生たちが見てほしいものがあると呼びに来てくれました。行くとかわいい雪だるまが!これも青春。明るく一歩一歩進んでいけますように。(金山 愛子)

学生たちと雪だるま










