学長室だより

「知る」こと~平和の器となるために

ロシアとウクライナの戦争は終わりが見えず、スーダン内戦、今度はイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃と応酬など、戦争の火種は世界各地に広がり多くの命が失われています。暗雲垂れ込める世界情勢を知るにつけ、かかわらないで生きていたいと思うのは人の常でしょうが、自分が知らないでいても現実に戦争が起きていることに変わりはありません。10月6日のアッセンブリ・アワーではKeiwa Peace Project~祈り・つながり・希望~(KPP)の石井さん、若月さん、長谷川さん、山口さんから広島、沖縄での平和学習について報告があり、広島女学院大学が主催する広島碑めぐりの旅、平和式典、講義、被爆証言にオンライン参加して考えたことを話してくれました。「今語らなければ戦争を経験した私たちは死んでいく。それを伝えなければ同じことが起こる」という被爆者の切実な声や、「無知が恐怖を助長し、その恐怖が差別を引き起こす」という講義を聞き、日本の加害の部分も含めて「私たちは知る努力をしなければならない」、そして「知ることは大きな力になりうる」と話す若い人たちに希望を持ちました。沖縄キリスト教学院大学のオンライン平和学習の後で、一名が実際に沖縄に赴いて沖縄戦のことや現在の基地問題について学びました。本土決戦準備のための時間稼ぎ、「捨て石」とされ、今なお基地の7割が集中する沖縄の地に立って、自分の無知を恥じ、平和のために何ができるのかを考えると無力感に襲われても、「まず知ること、そして伝えることならできる」と話した若月さん。一人で沖縄の重い歴史と現状に向き合わせ、重荷を負わせてしまったかもしれないと案じましたが、沖縄の方々の「平和へのうむい(思い)」をしかと受け止め、「共に、一緒に、仲間として平和を作っていく」KPPの仲間がいることで救われた思いがします。「知ることって重いね」と声をかけたらこっくり頷いた山口さん。そう知ることは重いこと。でも知らなければ変わらない。生命と自然、文化を守る平和のために「知る」ことを怖れずに、共に学ぶ学園でありたいと思います。(金山 愛子)

平和学習プログラム活動報告の様子

平和学習プログラム活動報告の様子