学長室だより

マック仕様のワープロソフト

パーソナルコンピューターを身近に感じるようになったのは、パソコンで使える多彩なソフトの存在でした。研究費での購入を決断したのは、ヘブライ語のテキストが使えるソフトが出た後でした。それがどのようなソフトなのかを確認しなければ、と思っていました。すぐには購入に踏み切れなかったのです。それは英文のソフトでしたが、聖書のテキストには、Instant Detailという装置がついていて、画面上に表示されたテキストの、ヘブライ語の単語にマウスの矢印を当てると、その言葉の品詞、名詞か形容詞か、動詞なのかが表示され、意味まで英語で表示してくれる代物でした。動詞であれば、どのような態で、使役動詞か、受動形か、命令形か、分詞かも表示してくれるのです。動詞の主語の、人称や数まで明示してくれる、優れものでした。このソフトを見て、マックを購入する決断を下したのです。マック専用の、マックライトというワープロソフトも使い勝手は大変よいもので、満足して使っていました。
問題は、かつてのワープロソフトで作成した、本の原稿や論文を何とかコンピューターに移せないか、という課題でした。これもMS-DOSに転換してから、マックに移すということが可能になり、古いワードプロセッサーは、部屋の片隅に置かれるようになってしまいました。当初の感激はどこに行ってしまったのか、自分自身にそのように語りかけながら、論文を書き続けました。ヘブライ語のテキストが自由に使えるようになったことで、まさに狂喜乱舞の心情でした。しかし、ウインドウズのソフトとの互換性がないため、少数派となったマックファンは、長い間、忍耐を強いられることになります。(鈴木 佳秀)