学長室だより

真の人間教育について

街中ではハナミズキが美しく咲き、キャンパスではヤエザクラが満開です。上空ではヒバリが鳴き、トンビが上昇気流に乗ってゆっくりと輪を描いていました。あぜ切と田起こしが終わった大学周囲の田んぼに水が入りました。

22日金曜に新入生オリエンテーションが行われました。コロナ禍以前は毎年月岡温泉で一泊合宿して開催してきました。今年は開会礼拝と学長講演は、チャペル・アッセンブリ・アワー方式で3学科に分かれて大教室では対面で、2つの中教室ではオンラインで、というハイブリッド方式で行いました。その後は体育館で30グループに分散してワークショップが行われました。弁当による昼食後はSNSについての講演と学生団体紹介が行われました。

私は毎年学長講演でスライドを用いて「リベラルアーツとは何か」と題して、大学教育の根幹を成すリベラルアーツ教育の歴史と意義について紹介してきました。リベラルアーツ教育は偏差値教育と対極を成す真の人間教育です。偏差値とはペーパーテストで測れる人間能力の統計的分布を示す物差しにしか過ぎません。

新入生オリエンテーションで、リベラルアーツ教育の歴史と意義について講演しました

新入生オリエンテーションで、リベラルアーツ教育の歴史と意義について講演しました

 

敬和学園高校の初代校長太田俊雄は54年前に敬和学園高校を開校した時に偏差値教育を「狂育」と呼びました。その基準だけで人間を序列化する考えを推し進めていくと、相模原やまゆり園事件を引き起こした犯人が持っていた優生思想に至ります。偏差値教育は「すべての人は等しく尊い」という人権思想とは真逆の考え方です。日本の教育現場が半世紀を経ても、いまだに偏差値という考えから抜け出せないことに後進性を感じます。(山田 耕太)