チャペルのひびき

現地の人々に寄り添うこと

チャペル・アワーは、金山愛子先生(英語文化コミュニケーション学科教授、学長補佐)が、アフガニスタンの人々のためにご生涯をささげられた中村哲医師のことについてお話しくださいました。若き日に内村鑑三の本と出会ったことをきっかけにキリスト者となられた中村医師は、医療団体の要請を受けてパキスタンの地で医療に携わります。その後、最貧国と呼ばれるアフガニスタンに活動の場を移されますが、現地の人々との関わりを通して、自ら重機を操作しながらのかんがい事業に精力を傾けられます。清潔な水こそが、彼(女)らにとって、より重要であるとの認識のもとでです。また、中村さんは、ご自身はキリスト者でありながら、現地の子供たちのために、イスラム教の精神に立つ学校設立のために尽力されたことでも知られています。助けを必要としている人の求めに応え、「人が大事にしているもの(こと、ひと)を大事にする」ことを通して、中村医師は、主イエスの精神を体現されてゆかれたのでしょう。そのような他者のために尽くされた中村医師のご生涯を、金山先生は、後世への贈りものとなるような「高尚な生涯」(内村鑑三)であると語られました。引き続くアッセンブリ・アワーでは、李仁鉄(にいがた災害ボランティアネットワーク理事長)先生が、「災害時に必要とされること」とのタイトルのもと、ボランティア活動の精神(こころ)について教えてくださいました。ボランティア活動には、被災された方々の状況やお気持ちに寄り添う、きめ細やかな対応が求められるとのこと。同時に、その活動にあたっては、さまざまな役割の存在することをもお示しくださいました。言い換えるなら、誰もが、何らかの仕方で関わることのできるのが、ボランティア活動なのでしょう。多くの気づきと勇気を与えてくれるすてきなお話でした。(下田尾 治郎)

Ⅰ.チャペル・アワー 
説教 「中村哲医師のこと」 教授 金山愛子 先生

Ⅱ.アッセンブリ・アワー
講話 「災害時に必要とされること~学生への期待~」 にいがた災害ボランティアネットワーク理事長 李仁鉄 先生

<参加学生の感想>
感想1) 私は高校生の時に授業の一環で中村哲医師についてのビデオを見たことがあります。その時は、すごい人だなぁ〜とぼんやり、なんとなくでしか理解できていなかったのですが、今日改めてお話を聞いて、すごい、などという言葉では表現することすらおこがましい人だ、と感じました。お話を聞いて、私が一番尊敬したのは、安全な食料や水が手に入ったら救われる命がほとんどだったので、用水路を作ろう!と切り替えられる発想力です。自ら土木作業員のような作業着を身につけ、汗水を流して人のためになることを全力でする。最初、医師のすることではないように感じました。しかし、愛子先生のお話の中には、医療を施すことよりも、用水路を作ることの方がより多くの人の命を救っている、というような旨も含まれていました。用水路を作ることは、医師の仕事ではないかもしれないけど、人の命を救う、という面において中村哲医師は人生の最後まで医師としての任務を全うしていたのだと感じました。
感想2) 李仁鉄さんのお話を聞いて、ボランティアはただ助けたいという軽い気持ちだけでは務まらないと思いました。被災した人は目に見える物理的な被災だけでなく、心や身体まで被災していることを忘れてはならないと思いました。心のケアを第一に考えて、どうすれば頼りやすくなるか、どうすれば心を打ち解けてくれるかなどさまざまな面から考えて行動するのもボランティアの仕事ということが分かりました。被災した苦しみは当事者にしか分かりません。しかし、その傷ついた心に少しでも寄り添う努力は誰にでもできることだと思います。今日のお話は、災害の多い日本ではとても必要な知識だと思いました。