学長室だより

サンフォード・ゴールドスティン先生を想う

5月に天に帰られた本学名誉教授ゴールドスティン先生のご子息デーヴィッドさんご夫妻と妹さん、ご友人の涌井さん、北嶋藤郷本学名誉教授ご夫妻が6月14日にお訪ねくださいました。ゴールドスティン先生は1993年から2003年まで本学で教えられたアメリカ文学の研究者です。当時アメリカ文学史は英語英米文学科の必修科目で、150人もの学生が大教室で授業を受けていたそうです。「敬和の学生の懸命な努力が敬和の評価につながる」とおっしゃる先生は、ご自分で書き下ろしたテキストを用意され、もちろん授業は英語で行い、テストも全部英語。その上、詩の暗唱が課題で、1人ずつ研究室に呼んでは暗唱させ、うまくいかなかったら「また来週」という、厳しくもとても面倒見のいい先生でした。そんな話をしてくれたのが教え子の荒木陽子准教授で、びっしり書き込みのしてあるテキストを見せてくれました。そんな縁で、この日は荒木ゼミにもお邪魔し、世代を超えた温かい交流の時をもちました。ゼミで取り上げられていたソローの「ウォールデン 森の生活」はゴールドスティン先生が特に好まれた作品で、ご家族は、先生から学んだものが次の世代に継承されていることをとても喜ばれました。

石川啄木や正岡子規らの短歌を海外に紹介し、ご自身も短歌を詠まれたゴールドスティン先生は、Father of English Tanka(英文短歌の父)と呼ばれています。日本に渡って1か月後に奥様が急逝され、3人のお子さんを異国で立派に育て上げられた先生の悲しみや孤独や喜びが歌へと昇華されたのでしょう。先生の歌集the last mile on the tanka roadを図書館にご寄贈いただいています。敬和学園大学の堅固な基盤を作ってくださった草創期の先生方から受け継いだものを未来につなぐことを約束して、デーヴィッドさん達とお別れしました。(金山 愛子)

来訪された皆さんと記念撮影

来訪された皆さんと記念撮影