学長室だより

真理は汝らに自由を得さすべし

学長室の壁に「真理は汝らに自由を得さすべし」(ヨハネによる福音書8章32節)という聖句を書いた書を掛けてもらいました。友達からもらったこの書が敬和に来てくれたことがうれしくて、そして何かを語りかけてくれるようで毎日眺めています。これは山形県の小国町にある基督教独立学園高校で100歳まで書道を教えておられた桝本楳子(ますもとうめこ)先生の書です。私は、先生が85歳の時から3年間教えていただきました。

桝本楳子(ますもとうめこ)先生の書が学長室に飾られています

桝本楳子(ますもとうめこ)先生の書が学長室に飾られています


 

本学前学長の山田耕太先生は、この聖句はリベラルアーツ教育のモットーであるとおっしゃいました。イエス・キリストは、「私は道であり、真理であり、命である」(ヨハネ14章6節)とも言いました。ならば、真理であるイエスが私たちを自由にするということでしょうか?そしてそのイエスは愛することを教えます。すると、愛は私たちを自由にするということでしょうか?他方で、リベラルアーツ(自由学芸)はもともと古代ギリシアの自由人が身につけるべき学問という意味でしたが、中世には諸学問を関連付けて真理を探究することで無知や偏見から解放された自由な人となる、と変わっていきました。キリスト教の文脈だけで、あるいは古代から中世のリベラルアーツ教育の文脈だけで別々に考えるなら分かるような気がします。しかしこの2つの文脈を組み合わせて考えた時に、どういう意味を持ちうるのかを理解することが、私に与えられた問であるように思います。学生の皆さんと共に考えていきたいと思います。(金山 愛子)