学長室だより
センス・オブ・ワンダー
連休の間少しゆっくりして、空を見上げたり、風にそよぐ新緑の葉に目を留める暇はありましたか?私は元同僚がいる野尻湖畔の山小屋を訪ね、湖を見下ろしながらシジュウカラにヤマガラ、アカゲラやウグイスの声のシャワーを浴びてきました。海洋生物学者のレイチェル・カーソンに『センス・オブ・ワンダー』(「美しいもの、未知なもの、神秘的なものに目を見はる感性」の意味)という本があります。この本から私は、シダ類の美しさを教えてもらいましたし、まだ2歳足らずの姪の息子ロジャー(5歳で母親を亡くしたロジャーをレイチェルは引き取ります)を毛布にくるんで嵐の夜の海岸に出て、大波が岩に砕け散るのを見て2人で声を上げて笑ったという気持ちも分かるような気がします。レイチェルは「子どもたちが春の夜明けの小鳥たちのコーラスにまったく気がつかないままで大人になってしまわないようにと、心から願っています」と書いています。長野から帰ってみると、我が家の軒下の巣の中ではスズメのひなが鈴をふるような声で鳴いていました。近くで親スズメが警戒音を出しながら見張っています。街中で一生懸命子育てしている親鳥を健気でかわいいなと思っているのに、私が近づくといつも警戒音で追い立てられます。上遠恵子さん訳の『センス・オブ・ワンダー』(新潮社)にすてきな写真をつけられたのが森本二太郎さんで、敬和学園高校でかつて教えておられた方です。その森本さんが5月31日にチャペル・アッセンブリ・アワーでお話にいらしてくださることになりました。自然を愛する方に、子どもと関わる方に、一人でも多くの方にお話を聞いていただきたいです。(金山 愛子)