学長室だより

こころほかほかあたたかい町

先週末に大岩彩子准教授が新潟市で主催した「こころほかほかあたたかい町」へ出かけてきました。子どもだけで運営するドイツの「ミニ・ミュンヘン」が始まりで、日本での「こどものまち」は現在300か所以上あるそうです。新潟のこどものまちは昨年大岩先生たちが始めたもので、遊びを通して「働く」「社会に参画する」「自分たちのまちのことは自分たちで決める」という体験をするシティズンシップ体験の場として位置づけられています。2日間のイベントで300人を超える子どもの参加があり、一般参加、ボランティアや飲食店などを含む関係人口は1,000人に上ったそうです。大岩ゼミの学生をはじめ、他大学の学生さんや寿司屋の大将まで大勢の方々が関わっておられました。この町にも警察やハローワークがあり、清掃局がトングでごみ拾いをして町をきれいにしていました。ギルド(中世のようですね)には、八百屋さんから「大人悩み相談」や「紙芝居屋さん」まであります。私は2人の姉妹から3回も紙芝居を読んでもらいました。それも彼女たちにとっては仕事になり、仕事終了のスタンプを押してもらうと給料が出ます。その給料から税金を払い、残りは自分の好きなように使えるのだそうです。

警察のお仕事を体験!


 

マルチタスクが同時進行で動いていて、これをどうやって運営しているのか不思議に思いましたが、考えてみれば、町というのはそういうものですね。どんな町でも、皆が協力しないと市長や町長だけでは何も回りません。このこどものまちでは、企画段階から実行委員に子どもが入って時間をかけて準備をしてきました。八百屋を開くために稲刈りをしたり、梨もぎをしたりしたそうです。子どもたちの希望が実現されたのは、快く受け入れてくださった農家さんの存在があってのことでした。約束事もあり、「子どもの権利とやくそく」では、付き添いの大人には子どもの意思決定への口出し禁止などの禁止事項があります。子どもの自立を助けるのも大人、妨げるのも大人ですね。大岩先生は、「300人ものこどもたちが『じぶんたちのまちはじぶんたちで作れる』という体験をして日常に戻っていったこと。こどもも市民であり、権利を持っていると気づいた大人が日常に戻っていったこと。そこに意義があると信じて希望を持ちたい」と話していました。このこどものまちの運営に敬和学園大学の学生が30人以上も関わっていたことをうれしく思います。12月初めには新発田市でもミニ版があるそうです。新発田市の子どもたち、どうぞお楽しみに!(金山 愛子)

イベントは2日間で300人を超える子どもたちが体験しました