学長室だより
失敗から学ぶ。その後には清々しい姿が。
1月16日に英語文化コミュニケーション学科と国際文化学科の教職課程・教育実習報告会がありました。12人の4年生がこれまでの学びを自分の言葉で総括する場です。それは自分の過去や弱さ、失敗をさらけ出すことでもありましたが、その姿はなんとも清々しいものでした。「これまでの人生、逃げの連続だった自分にとって、教職課程は大きな挑戦だった」と話し始めた学生は、人から教えてもらうことの大切さ、仲間の存在の大きさを話してくれました。不登校だった自分に役割を与えて存在意義を教えてくれた先生との出会いから教員を目指した学生もいます。
何と言っても学びの集大成は教育実習です。成功も失敗も楽しさもつらさもあったでしょう。実習が不安で失敗しないことしか考えられなかったり、詰め込み過ぎて生徒を混乱させたり、授業を時間内に終わらせることばかり考えて生徒に向き合えなかったりという失敗から大いに学んだことが分かりました。そして実習先の指導教員の助言やサポートが的確なこと。教案を何度も見てくださったり、「指示があいまい」「言葉が分かりづらい」「黒板に向かって話していても生徒に伝わらない」など具体的な注意を与えつつ一緒に考えてくださったことは感謝に堪えません。実習生の多くが語っていたのは、「自分の視点からいったん離れてみる」「多角的に物事を考える」「自分のためではなく相手のために話す」「さまざまな可能性を想定する」「生徒の意見を引き出す」「教師と生徒は互いに学び合う存在」「情報の聞きだしではなく、気持ちを聴く」といった態度でした。それこそ、相手への思いやりであり、対話であり、リベラルアーツの精神です。この先何をするにしても、一つのことをやり抜いた経験がきっと自分を支えてくれることでしょう。下級生にとっても有意義な会でした。4年間手塩にかけて育ててくださった教職課程の先生方に感謝します。
教育は受けるものも大きいですが与える仕事です。自分自身の充電をすることも忘れないでと思います。教員や公務員のなり手不足の問題が起きている今、人を育てる、地域社会に奉仕するという大切な仕事に貢献できる人をこれからも育てていきたいと思います。(金山 愛子)