学長室だより

共に学ぶ楽しみ

 いよいよ学期末が迫り、大学生は試験やレポートの準備に忙しい毎日を過ごしていますが、逃してはいけない機会を捉えて力を発揮することも能力の一つですので、しっかり取り組んでほしいと思います。今学期はオンラインで「ギリシア悲劇入門」(教養スペシャルトピックス)を開講しました。ギリシア神話の神々の紹介から始まり、紀元前世紀にアテナイで行われていた演劇の競演、トロイア戦争とそれにまつわる家族の悲劇を映像を交えながら学びました。もともと口承の叙事詩がパピルスに書き留められ、「声の文化」から「文字の文化」へ移行したことや、写本の異同の問題、演劇とその型、敵国への共感、神話の形成と非神話化などたくさんの話題が出て、古代ギリシア世界は研究しつくされることのない豊かな土壌であると思いました。1年生から4年生までの学生、20代から90代までの科目等履修生、そして敬和学園大学の先生方まで参加してくださり、多様な受講生によるダイナミズムがあって、私自身さまざまな学びを得ました。受講生同士がコメントからお互いに学び合うピア・ラーニングでした。ギリシアの神々は人間の特徴を何倍かに強めたような神々ですが、神々と人間との間の埋めることのできない違いは、不死かそうでないかです。叙事詩『イーリアス』でもトロイア戦争にまつわる悲劇でも、戦争で敗れても人が誇り高く生きる姿が描かれ、かえって不老不死ではなく限りある命を生きる人間こそが尊い存在として見えてきました。2500年続いたギリシア悲劇を同年代の方々や若い方々、そして人生の先輩方と共に読み鑑賞することができてありがたかったです。キリスト教とは違う人間観を学ぶこともできました。古典というものは人生を生きる中で、じわりじわりと思い出されるものではないかなと思います。この夏休みは、さまざまな場所へ留学やサービスラーニングに出かけるもよし、じっくり好きなことをやるもよし。よい夏休みをお過ごしください。(金山 愛子)

ギリシア演劇が競演された、アテナイのディオニュソス劇場

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