学長室だより
白鳥が飛び立つころに
雪に覆われた白銀の世界で白鳥が大きな声で騒いでいるのが学長室まで聞こえてきます。シベリアに帰るころとなりました。先週で集中講義も終わり、6日に一般選抜A日程も終わりました。
世界はオミクロン株の新型コロナウイルス感染症が急速に拡大まん延する中で、またウクライナ情勢が緊迫する中で、冬の北京オリンピックが開催されています。
先月下旬にあった環日本海経済研究所(ERINA)主催の北東アジア経済発展国際会議での日本国際戦略研究所理事長田中均氏による「北東アジア情勢」という基調講演をZoomで視聴しました。それは米中対立が進む中で今後日本がどのように生きるべきかを示唆する講演でした。
その要点の第1は米中の軍事的対立が進む中で、日本は安全保障の点では中国と対立する日米の立場にあり、第2に民主主義と共産主義という政治的競争の立場の違いがある中で、第3に経済的には日本は中国ともアメリカとも深い相互依存の関係の中にあり、第4に気候変動や環境問題、エネルギーの問題などグローバルな課題は互いに協力しなければならないというものでした。
大切なのは一面だけを見るのではなく「軍事的対立」「政治的競争」「経済的依存」「グローバルな課題の協力」という4つの面のバランスを崩さないように保って日本独自の立場を築いていくことだと指摘しました。その中で要になるのは北朝鮮問題と日韓関係であると指摘しました。私はこれら4つの面に加えて、スポーツ・芸術・学問という面がもう一つあり、グローバルな視点で相互に啓発し交流し合うのが大学教育の役割ではないだろうかと思わされます。(山田 耕太)