チャペルのひびき

差別を克服し、平和の社会を築くために必要なこと 

チャペル・アワーの説教、アッセンブリ・アワーの講話ともに、金泰仁先生(日本キリスト教会・東京告白教会牧師)がご担当くださいました。チャペル・アワーでは、使徒パウロの記した「ローマの信徒への手紙」15章の丁寧な説き明かしをとおして、隣人の弱さを担ってゆくことの大切さを教えてくださいました。この聖書箇所は、解釈しやすいとは言えないテキストなのですが、文脈に即して使徒パウロの意図をくみ取るならば、隣人の弱さを担うこととは、自らの強固な信念(信仰の強さ)のゆえに、その尺度から見れば他者の弱さとしか思えないとしても、他者の大事にしていることを踏みにじることのないようにということです。それは、他者の大事にしていることを大事にしてゆくことと言い換えてもよく、そのことが、とりもなおさず、イエスの心を生きることであると使徒パウロは教えているのです。聖書が、多様なバックグラウンドと価値観を持つ人々と共生する知恵を教えてくれる書物であることを改めて覚えることができました。アッセンブリ・アワーの講話においても、福音書に記された主イエスの姿をとおして、さまざまなかたちで存在する差別を克服し、多様な人との間に平和を築きながら歩んでゆくことの大切さを先生はお伝えくださいました。在日韓国人二世として日本社会に存在するさまざまな差別の中でキリスト者として生きてこられた方の言葉の重みを感じずにはいられませんでした。金先生は、また未来に向けて平和の社会を切り拓くためには、近現代史、とりわけ隣国の人々との関わりの中での日本の歴史に関する学びを怠ってはならないことを力説されました。幸いなことに、ご子息の金耿昊先生が、本学の日本近現代史の教員として教鞭をとってくださっておられます。学生の皆さんに金耿昊先生の授業の受講を強くお勧めいたします。(下田尾 治郎) 

Ⅰ.チャペル・アワー 
説教 「隣人を喜ばせる」 日本キリスト教会 東京告白教会牧師 金泰仁 先生  
Ⅱ.アッセンブリ・アワー
講話 「日本と韓国の関係のおける隣人」 日本キリスト教会 東京告白教会牧師 金泰仁 先生

<参加学生の感想>
感想1) イエスの忍耐と慰めが、私たちの忍耐と慰め、そして生きる希望の根源であるということを学びました。隣人の弱さを担うほどの強さを私が持てるかと問われたら、今は担う自信が持てないなと思いました。なので、これからの人生で少しずつ成長し、いつかは隣人の弱さを担い、愛することができるようになりたいと思います。差別に対する考え方などをキリストの考えを基に学びました。日本の日常生活の中で、アイヌ民族や琉球人の人々は現代でも差別を受けているということも学びました。今、差別を受けている、人権を守られていない人たちを守ることが今の若者たちに求めれられていることだというのもお話の中で出てきました。世界中には多様な人種があり、日本人もその中の1つでしかないというのに、なぜ日本にいる在日外国人や特定の民族、外国人を差別するような人がいるのか。同じ日本人としてとても恥ずかしいですし、もっと平和な社会にしていくために、日本人に限らず、世界中の人々が人格的な行動ができるようになったらいいのにと思います。そして、差別行為に直面した時に声を上げる人になりたいです。
感想2) 今日のチャペル・アッセンブリ・アワーでは、在日韓国人である金泰仁先生のお話を聞きました。内容は、差別についてでした。在日韓国人は、さまざまな場面において多くの差別がなされていて、深刻な問題となっていることがよく分かりました。在日韓国人である金泰仁先生から聞くお話は私が想像している以上のものであり、金泰仁先生が経験したことから感じた思いや願いには説得力がありました。今回のお話を聞いて、誰もが「人種差別の撤廃に貢献できる存在」だという言葉が響き、差別のない世の中になることを目指し行動しようと思いました。