チャペルのひびき

音楽の力、天職の力

チャペル・アワーの説教は、和田献太郎先生(キリスト教教育主事)がご担当くださいました。ご自身の経験を通して搾り取られた貴重なお知恵を分かち合ってくださり、感謝に溢れました。中でも「お陰様」という言葉に込められた豊かな意味合いを教えてくださいました。人は、自分の力だけで生きているのではない。陰になって支えてくださる多くの存在によって、今あることをゆるされていることを改めて深く覚えることができました。アッセンブリアワーにおいては、音楽療法士として新潟県内で幅広く活動されている大竹孔三先生より、音楽療法というお仕事について、教えていただきました。志をもって音楽学校で学んだ後に最初の任地として赴かれたハワイでは、お仕事を投げ出したくなるほどの困難な経験をなさいます。セッションに参加した、それぞれに事情を抱えた若者たちが少しも心を開いてくれなかったのでした。けれども、音楽の力また、先生ご自身のご忍耐によって、互いに心を開き合い、協力し合う、すばらしい関係が育まれていったのだそうです。音楽の持つ力の不思議さについてはもちろんのこと、天職として選んだ仕事を投げ出さずに、誠意をもって打ち込んでゆくことを通して、その過程で味わうあまたの苦労と苦しみを補って余りある大きな実り(喜び)を得られるのだということを、大竹先生は、教えてくださいました。(若人一人ひとりが、そのような天職と巡り合うことができますよう、心から祈っています。)最後に、「Believe」という歌を、大竹先生の伴奏で歌い、この幸せな時間を閉じました。(下田尾 治郎)

Ⅰ.チャペル・アワー 
説教 「いいとこ取りから、お陰様へ」 キリスト教教育主事 和田献太郎 先生

Ⅱ.アッセンブリ・アワー
講話 「命を輝かせる音楽療法」 Sounding Joy JAPAN代表 大竹孔三 先生

<参加学生の感想>
感想1) チャペル・アワーでのお話を聞いて、周りへの感謝を忘れずに生きていこうと思った。自身の実体験を基にしたお話は、とても現実味があった。感謝ができない人は、他人か自分かどちらかを傷つけてしまうということに気づかされた。また、紹介していただいた詩にはとても心打たれた。詩の一つひとつの言葉に重みがあり、自分が自分が、となるのではなく、自分が誰のお陰で生きているのか考えることが大切だと思ったし、そのような考えで生きていこうと思った。
感想2) 今日のチャペ・アワーでのお話が、今の自分が抱える悩みにつながるお話で、本当によい講話を聞けてよかったです。自分に都合がいい人間を「よい人」、都合が悪くなれば「悪い人」「嫌な人」と分け、ひいきをしたり、逆にいじめたりする人間も世の中にはごまんといます。実際に私もそのような人間関係に悩んでいます。…交通安全への感謝と「お陰様で」という言葉についてのお話を聞いて、私は相手に感謝の気持ちを忘れないこと、相手に期待するのではなく、それができたら「すごい」「よかった」など、レベルを低く設定して苦手な人と関わっていければ、もっと自分も穏やかに過ごせるだろうなと思いました。「お陰様で」を合言葉にして、これから過ごしていきたいです。
感想3) 大竹先生の話を聞き、音楽は人を変えるような大きな力や思いが含まれているのだと思いました。そして大竹先生は、思いのこもった音楽で人とどのように関わるか、悩みながらも考え続けたことで、人の心に響くような活動が実現できたのだと思いました。たくさんの困難と出会ったとしても、好きだから継続できる、本気で向き合うからこそ、乗り越えることができるのだと思います。私も、本気になれることを見つけて、人や物に働きかけられるような活動ができたらよいなと感じました。
感想4) 私は、「音楽療法」という言葉を初めて聞いて、最初はそれがどんなものなのか分かりませんでした。しかし、ある人が歌によって記憶がよみがえったり、脳に働きかける力がすごいものであるということが分かり、音楽療法のすごさを知りました。また、途中で流れた曲は、とてもすばらしい曲でした。訳を聞いた時には、自分自身もがんばっていこうと思えました。「私は飛べると信じている」というタイトルの訳も、後押ししてくれているような気がしました。音楽の力で団結力やコミュニケーション力も養うことができ、今までできないと思っていたこともできるようになっていったエピソードを聞いていて、音楽にはまだ可能性がたくさんあるように思いました。
感想5) 私は気づかないうちに、自分の不幸を周りのせいにしてしまっていると改めて考えた。例えば私は、初対面の人と話す時に、少しでも自分と合わないと感じると、こちらから距離を置いてしまう。しかしそれすらもお互いさまなのかもしれない。その人と距離を置くことは、その人との出会いへの感謝を忘れることになる。自分の自己中心的な考えで、一番苦しむのは自分であると気づいたので、毎分毎秒、自分が生きているのは周りのお陰であると改めて考え直した。歌によって日本語を思い出せた人の話を聞いて、音楽が脳に働きかける力のすごさが分かった。私自身コンサートが好きでよく行くのだが、その時歌われた曲を聞くと、コンサートの記憶を鮮明に思い出すことができる。それも音楽特有の力である。音楽は写真よりも人の思い出をよみがえらせることができるのではないかと思う。「命を輝かせる音楽療法」と聞いて、納得した。また、更生施設の実情を知り、驚いた。音楽療法士という仕事があること自体知らなかったが、すてきだと思った。