学長室だより
作曲家の大中恩さん、生誕100年
新聞で、今年は作曲家の大中恩(めぐみ)さんの生誕100年にあたると知りました。子どものころ、「まいごのまいごのこねこちゃん」と歌ったことのある方も多いと思います。「いぬのおまわりさん」にしても「サッちゃん」や「ドロップスのうた」にしても情景が目に浮かび、ことばとメロディが完全にマッチして歌いやすいところが多くの子どもに愛される理由かと思います。私も「いぬのおまわりさん」を歌いながら、母のいる台所で踊っていたものです。大中氏は、「童謡に新しい風を吹かせること」を目的に結成された「ろばの会」に誘われたことで童謡と出合い、「遊び心があって、子どもたちに受け入れられやすい歌詞の童謡」をたくさん作ってこられました(「作家で聴く音楽 JASRAC会員作家インタビュー」より)。実は、敬和学園大学の校歌も、この大中氏が作曲してくださいました。山田耕太前学長が、敬和学園大学の創立20周年に合わせてぜひ校歌を作りたいと願い、若々しく晴れやかな敬和学園高校校歌の作曲者大中氏にお願いしたそうです。詩編121編「目を上げて、わたしは山々を仰ぐ」のイメージで作ってほしいと頼むと、開口一番「美しいことばのよい詩が必要」と答えられ、作詞者として北島万紀子氏を紹介くださったそうです。幸いにも両者からご快諾いただき、「神を敬い 人に仕える」で始まる敬和学園大学 学園讃歌が誕生したのでした(詳細は山田前学長ブログ2018.12.14)。作詞作曲にかかる前に一度お2人で大学をお訪ねくださいました。当日はあいにくの小雨で二王子岳も飯豊山も見えませんでしたが、「あそこに山があるんですよ」と話したその山を心の眼で見てくださって、すばらしい校歌を作ってくださいました。20周年の記念式典には大中氏のコーラスグループを伴ってお2人でご参加くださり、校歌を披露して式典に花を添えてくださいました。この校歌を聞くと、ある年の卒業式の日、その年度で大学を去られることになった教員が、校歌のメロディが流れると涙を抑えられなくなり、隣にいた教員に肩を抱かれていた姿を思い出します。敬和のスピリットを表す校歌を作ってくださった大中氏、北島氏に改めて感謝申し上げます。(金山 愛子)