学長室だより

充実していたデンマーク研修2022

敬和学園大学では「デンマークの教育と福祉」というオンライン授業があります。2022年の夏にはこの授業を受けた学生10人が1~3週間デンマークのバァナゴップ・ホイスコーレで研修してきました。フォルケホイスコーレ(国民大学)とはデンマーク特有の教育制度で、18歳以上の人に開かれた「人生について考える学校」です。仕事や人生の転機で立ち止まって自分を見つめる時を持つことができます。デンマークは19世紀初めに国家財政破綻の憂き目に遭いますが、時の国王は「私たちは貧しくても、愚かであってはいけない」と言い、1814年に最初の学校法ができました。この流れの中でフォルケスコーレは、グルントヴィーの哲学に基づいて生きた言葉による語りと対話、自由な精神に価値を置き、教育を受けられなかった農村の若者のための学校として各地に建てられました。人生の価値観は誰が決めるのか?自分のことは自分でしか決められないとの考えに基づき、福祉国家デンマークの教育では人を育てることにお金をかけているように見えました。私たちの研修では、教育と福祉に重点を置き、森の幼稚園、小学校、フリースコーレ(学童保育)、高校、介護・看護系の専門学校、アンデルセンの生地などを訪問し、子どもや学生たちと遊び交流しました。「子どもは自分のやることは自分たちで決める」との言葉が印象的でした。本人の意思決定を大切にすることは子ども時代から培われる能力であり価値観であることも学びました。訪問先に同行して解説してくださったのが、高橋まゆみ先生ご夫妻と千葉忠夫先生です。とても印象的だったのは、高校生と交流した後で、なぜデンマークの幸福度はいつも世界で1,2位であるのか、民主主義とは何か、日本はどうしたら幸せな国になれるのかというデンマーク在住50年以上になる千葉先生がリードしてくださった対話でした。その千葉先生を新発田にお迎えできることをとてもうれしく思います。(金山 愛子)

左から、千葉忠夫先生、マチアス ラーセンさん、卒業生 白井佑佳さん、金山学長


夏期デンマーク留学研修(2022年8月)