学長室だより
満開の桜と共に新学期を迎えました
今年の桜は4月4日の入学式には間に合いませんでしたが、授業のスタートに合わせて見頃を迎えています。雨に濡れる満開の桜にも幹や枝が黒々としていて風情を感じます。新発田市民文化会館での入学式では、二階堂馨市長からご祝辞を頂戴し、新発田市、聖籠町を代表されるご来賓と学園関係者、教職員一同で新入生の入学をお祝いしました。新入生代表の齋藤玲奈さんは宣誓で、宣誓文を考える時にChatGPTに相談してみた話をしてくれました。ChatGPTから諭されたとか。誓いの言葉を聞いて、みんなを巻き込んで何かを始めてくれそうで、これからの4年間を楽しみに思いました。式辞では、「考えなかった人」の話を紹介して、リベラルアーツ教育が大事にする「考える」とはどういうことかを考えていただきました。

4月4日に入学式を挙行しました
4月11日には恒例の新入生歓迎公開学術講演会を開催し、国際基督教大学名誉教授の鈴木寛先生をお招きして「学びをたのしむ土台をきずくために」と題してご講演をいただきました。鈴木先生は数学者でいらっしゃるため、リベラルアーツ(Arts and Sciences)の科学の部分―人工知能(AI)をめぐる大変興味深いお話をしてくださいました。AIに関してはまだ分からない部分も多い中、科学者としてAIを取り上げてくださった先生に改めて感謝申し上げます。
一般人はコンピュータやAIの原理を知らなくても、その機能の幾分かを日常的に使うわけですが、チェスや将棋や囲碁に使われた人工知能が長足の進歩を遂げた背景には、人間が考え方をAIに教えることから、AIが自ら学ぶようになっていった経過があることを学びました。これは大学教育でも同じで教員が学生に教え込むのではなく、学修者中心の「教育から学習へ」と変わっていることと符合することも指摘されました。
AIとどう付き合うのか、何が危険なのかを見極め使っていくことが人類にとっての課題となります。後戻りはもうできないと先生はおっしゃいます。鈴木先生はAIを使ってみることを励まされ、先生を導いてきた聖書の言葉から、「愛(受け入れがたい・面倒な人・物も、歓迎すること)」「信仰(「あなたのことを教えてください」と共に生き、信頼関係を育むこと)」「希望(公平さをもとめ合意・協力しながら共に実現していくこと)」の解釈を教えてくださいました。AIの使い方の基準となるのが、自分の中にある倫理的基準であり生き方であり、大学では知識や技術習得と共に、内面を育てていくことがこれまで以上に重要になると私は受け取りました。「文理融合」「文理横断」と近年よくいわれますが、さまざまな分野の専門家の話を聞くことがいかに面白いかリベラルアーツの醍醐味を感じてもらえたと思います。(金山 愛子)

鈴木寛先生(写真中央)に新入生歓迎公開学術講演会で講話いただきました