学長室だより

学びをカタチに ~学習成果発表の時~

しばらくご無沙汰していたら、たくさんのことが起こっていました。1月末から3月初めにかけて学生たちの学習成果の発表の機会が多くあり、英語文化コミュニケーション学科と国際文化学科では卒業論文・卒業制作の発表の場が持たれました。国際文化学科では哲学から国際関係、メディアまで実に多岐にわたる内容の13本の卒業論文発表があり、学生の関心領域の広さが伝わりました。指導された先生方は大変だったと思いますが、リベラルアーツのおもしろさが伝わる内容だったと思います。共生社会学科ではソーシャルワークやフィールド・トレーニングの報告会があり、受け入れてご指導くださった実習先の方々をお招きして、実習の振り返りを聞いていただきました。新型コロナウイルス感染症で経験する機会を奪われてきた学生たちにとっては、実習は緊張を伴うものだったと思いますが、受け入れ先の皆さまから実習の様子や発表内容についてもコメントいただき、実習経験を内面化することができたのではないかと思います。

英語文化コミュニケーション学科の卒業論文発表を終えた学生たちと金山学長

英語文化コミュニケーション学科の卒業論文発表を終えた学生たちと金山学長


 

2月23日には新発田市役所庁舎の札の辻広場で、共生社会学科の学生たちが「まちづくりフェスタ」を企画し開催しました。防災とまちづくりをテーマに学んできた学生たちが、これまでお世話になった自治体や企業さまに参加を呼び掛けて22の団体がブースを出店してくださいました。当日はあいにくの雪でしたが、800人に上る来場者があったとのことでした。改めて考えると「まちづくり」にはたくさんの要素があります。商店街の活性化だけでなく、高齢者の健康や子どもたちの居場所、障害者支援、防災、地域産業の継承と発展、祭りなどの伝統行事の継承などなど、「まちづくり」は「ひとづくり」でもあることを感じました。これだけの大きなイベントを企画した経験は、将来仕事やコミュニティで必ず生かされると思います。

2月28日にはイクネスしばたで「サービスラーニング活動報告会」を開催しました。敬和学園大学では授業での学びを地域や海外での実践的な活動と結びつけ、地域の魅力の発掘や課題解決に挑戦する「サービスラーニング」に力を入れています。今年は台湾やタイで活動したグループもあります。今回の発表はその一部で、地域活動を継続してきた7つのゼミが今年度の活動について発表してくれました。活動地域は新発田市、粟島浦村、阿賀町、新潟市、佐渡市と広域で、これに加えて沖縄県や東京都、北海道まで出かけて行ったゼミもありました。新発田市を知るためのゲーム制作、子どもたちの居場所づくり、「ケア宣言」に基づいた人・地域・地球へのケアの実践、農福連携、イスラーム文化理解や佐渡市の宿根木での交流プロジェクト、まちづくり、佐渡観光のプロモーションビデオ制作など、リベラルアーツの広がりが感じられる多様な活動の報告がありました。発表を聞いていて学生たちが実に生き生きと活動し成長している様子が伝わってきました。コロナ禍以降、オンラインツールの活用が増えていますが、やはり人と人が出会い、実際に身体を動かして体験することが若いうちには特に必要だと思いました。学術的な裏付けを加えながら学びを深め、今後も活動を発展させて卒業論文などにまとめられるとよいと思います。

2月28日にイクネスしばたで開催されたサービスラーニング活動報告会の様子

2月28日にイクネスしばたで開催されたサービスラーニング活動報告会の様子


 

3月2日には「阿賀北ノベルジャム2023グランプリ授賞式」が月岡温泉のホテル泉慶を会場に行われました。阿賀北ノベルジャムは著者・デザイナー・編集者の三者がコラボして、ジャズのジャムセッションのように短い時間に阿賀北地域を舞台とした小説を仕上げるというプロジェクトです。今年は「あい」をテーマにAIを編集者に見立てて創作するという企画でした。先日の芥川賞受賞作品でAIの使用が騒動になっていましたが、こちらは編集者としてAIを活用することを条件とした先進的な取り組みで、9作品の応募があったということです。松本淳准教授とゼミ生がこの半年間、著者やデザイナー、その他協力してくださる方々と伴走しながら、授賞式を迎えるに至りました。今回は阿賀北ノベルジャムの最終年度となりましたが、グランプリ受賞作は幕末の新発田を取り上げた意欲的で精緻な完成度の高い作品だったと審査員の皆さんが絶賛しておられました。NegiccoのMeguさんをアンバサダーに迎えて、総合司会をしてくれた金安さんの流れるような見事な司会でした。ここでも学生たちのすばらしい成長を目の当たりにすることができ、帰りは雪道でしたが温かい気持ちで家路に着きました。運営にご尽力くださった皆さまに感謝申し上げます。
 
今後の予定として3月12日に英語の授業を履修している学生たちと映像制作をしている学生たちが新発田市子ども課さまとコラボして、学びからアクションを起こす提言や実践活動を新発田市役所庁舎内の札の辻ラウンジで行います。実に実り豊かな一年であったことが実感できる年度末となりました。(金山 愛子)