チャペルのひびき

命輝かせる音楽の力

アッセンブリ・アワーをご担当くださったのは、音楽療法の尊いお働きを新潟を拠点に展開しておられる大竹孔三先生(Sounding Joy JAPAN 代表)でした。大戦で心的トラウマを負ってしまった元兵士たちを癒さんがために導入された音楽療法は、さまざまな困難やニーズを抱えている人々の治癒にとって著しく効果のあるものとして現代では広く認知されています。先生は、そのセラピーを専門に学ばんがために2度に渡って留学をされました。大学院での学びを修めた後に紹介されたのは、ハワイでの非行少女の入所施設でのお仕事。心に傷を負い、他者に対して心を閉ざした少女たちに関わるお仕事は、思いのほか試練の連続でした。けれども、彼女たちとの音楽セッションは変容を遂げてゆきます。最初は孤立し、いがみ合っていた少女たちが、一つの歌を音楽として作り上げてゆくうちに、おのおのが自分を表現してゆくことのみならず、他者を助け、輝かせることの喜びを見いだしてゆくのです。大竹先生が動画記録された最後の方のセッションからは、命の喜びと輝きが満ち溢れていました。個々人の存在を癒すと共に、他者との絆(共同性)へと導く音楽の持つ力をまざまざと知らされました。大竹先生が、天職として選ばれた音楽療法士としての恵みへと導かれたのは、そのための十分な学びの備えがあったからだということを心に留めていただきたい。チャペル・アワーにおいては、山﨑ハコネ先生(共生社会学科長)が、マタイ福音書25章に記された「10人の乙女」のたとえの釈き明かしを通して、将来において必ずや訪れるであろう、大事な役割を務める日のためには、日ごろからの備えを怠らないことが大切であることを教えてくださいました。敬和学園大学での日ごろからの学びは、皆さんの力が必要とされるであろう将来の日々に備えての大切な営みであることを心に刻んでいただけたらと思います。(下田尾 治郎)

Ⅰ.チャペル・アワー 
説教 「十人のおとめ」 共生社会学科 教授 山﨑ハコネ 先生

Ⅱ.アッセンブリ・アワー
講話 「命を輝かせる音楽療法」 Sounding Joy JAPAN代表 大竹孔三 先生

<参加学生の感想>
感想1) 今日の山﨑先生のお話の中で「自分にしかできない役割のために準備を怠ってはいけない。」という言葉が印象に残りました。私たちは時々役割を課せられます。代わりが利くものもありますが、中には自分にしかできない役割というものもあります。その時に準備を怠り、その結果自分の役割を全うできなかった経験が私もあるように思います。しかし、それすらも神はゆるしてくださると山﨑先生はおっしゃっていました。もちろん準備をすることを怠ってはいけません。しかし、人間誰しも間違いはあります。そのゆるしを神に乞い、神に祈りを捧げる生き方もあることを今回のお話で学びました。
感想2) 「音楽療法」というのを聞いたことがありました。深く意味は知らなかったけど、文字どおりの意味だと思っていました。しかし、とても奥の深いものなのだということを今回の大竹さんの講演で知りました。大竹さんの「問題のある所へ私たちが出向けばいい」という考え方にとても感銘を受けました。思ってはいても実際に行動に移すのはとても難しいことだと身をもって実感していました。大竹さんの行動力はとても見習うべきだと思いました。非行少女たちの所へ出向き、生活環境が恵まれずに暴力的になっていた少女たちを6か月ほどで思いやりの持てる優しい子へと更生させた映像を見ました。とても感動しました。人はこれほど変われるのだということを知って、自身の経験にも重ねてこれから心に刻もうと思います。