学長室だより
「一人娘みそ」から広がる輪
二王子岳の麓、清流の流れる新発田市上三光の耕作遊休地で育てた「一人娘」大豆からできた「一人娘みそ」が販売されています。共生社会学科ソーシャルビジネス・コースの趙教授のゼミで、農福連携を軸に地域経営を学ぶ学生たちが実に大勢の方々から協力をいただき、商品化にこぎ着けました。残留農薬ほとんどなしの土壌で、遺伝子組み換えなど一切のない在来種の豆を竹俣特別支援学校の先生方や生徒さん、のぞみの家福祉会の利用者さん、新発田市社会福祉協議会の利用者さん、地元の農家さん、敬和学園高校の先生や生徒さんと共に学生たちが丹精込めて育てた大豆です。粟島でのプロジェクトを始めて8年、農福連携活動を始めて3年の趙先生は、これまでの実績を踏まえて、聖籠町のみそ製造会社「渋谷商店」に製造をお願いしました。ほとんど手作業で麹をふんだんに含んだ味噌は、コクと甘みがあり昔懐かしい味です。学生たちは、農作業のほか、デザインイメージを伝えて、高校の美術部にラベルのイラストデザインをしてもらったり、原価計算をして値段設定をするなどしました。のぞみの家福祉会の皆さんには、パッケージングや販売を担っていただいています。趙ゼミの武藤さんと山賀さんからお話を聞くと、上三光は、人が優しく、水も星も「めっちゃきれい」だそうです。心が洗われるような場所で農作業に汗を流し、そこで育った大豆を商品化できた達成感は大きかったと思います。いろいろな大人とも関わることの多いプロジェクトですが、「僕、不登校だったんです。」「実は僕も」と、さらっと話に出てきて驚きました。礼儀正しくて、ゼミのサブリーダーを務める姿からは想像できなかったので、こちらの「不登校」の固定観念を捨てなければと思った次第です。「不登校の子どもたちとキャンプをしてみたい。」「子どもたちが外へ出て人と交流する時を持ちたい、そのために社会福祉士を目指している。」「工房を作って起業してみたい。」との夢を語ってくれました。これからは味噌をベースに、新発田市の特産品や山の幸を取り入れた商品開発も目指したいそうです。「あまどころミルクアイス」「一人娘みそ」に続いて、どんな商品が生まれるか楽しみです。「一人娘みそ」は本学売店、道の駅加治川、のぞみの家福祉会 ジョブプレイス夢ある小路売店、JA北新潟農産物直売所こったまーや、寺町たまり駅、かんだストアーでお買い求めいただけます。(金山 愛子)

「一人娘みそ」の商品化に携わった趙ゼミの武藤さんと山賀さん