学長室だより
学生よ、外に出よ! ―国際交流の学びから(3)
パンデミックの間オンラインで勉強を続けていた夏期デンマーク留学研修が、昨夏10人の学生の参加を得て実現しました。協定校のバァナゴップ・ホイスコーレを拠点に、森のようちえんから専門職養成校や大学までの教育機関、史跡などを訪問し、デンマーク特有の人の育て方や民主主義を学びました。デンマークは19世紀に国家財政破綻という危機に見舞われますが、国王の「我々は貧しくても愚かであってはいけない」との考えのもと、世界初の学校法が制定されました。フォルケホイスコーレ(国民高等学校)は、農村の若者のために生まれた自由な精神を育む学校です。
外の世界へ出て自分を変えたいと思って参加した山口さんは、訪問した高校で、質の高い英語教育を受ける生徒の積極性と自分への気遣いを感じたとのこと。そんな体験があったからこそ、現地で出会った先生の「まずは自分のことを愛して。そうでないと他の人を愛せないから。自分を大切に」との言葉が心に響いたのでしょう。「これまでも周りの人にやさしくしていたけれど、意見が違っても自分は自分、相手は相手と思って、その意見を尊重することはできていなかった」と言います。個人を大事にする文化に触れて、単なるやさしさとは違う、「相手を尊重する」=「自分も尊重される」ことを学べたのは大きかったと思います。帰国後の山口さんを見ていると、何か解放されたような清々しさを感じます。学ぶとは変わること。「真理はあなたたちを自由にする」とはこういうことかもしれません。(金山 愛子)