キャンパス日誌

国際政治から異文化コミュニケーションまで多様なテーマを議論:2017年度 国際文化学科卒業論文発表会

敬和学園大学では、1年生から4年生まで続く演習(ゼミ)の集大成として、学生と教員がマンツーマンで卒業論文に取り組みます。
国際文化学科の卒業論文発表会では、4名の学生が報告を行いました。

 

「パレスチナ問題と和平交渉の可能性」井上尭さん(富川尚 教授)
イスラエル建国に端を発する「パレスチナ問題」について、和平交渉プロセスの現状に焦点を当てた報告をしました。イスラエル建国前史の「シオニズム」「ワタニーヤ」やイギリスの外交政策から、中東戦争の発端とその後の経緯を分析した上で、オスロ合意から始まる和平交渉プロセスがなぜ失敗したのか、現在の課題を含めて、報告を行いました。

井上さんの卒業論文発表

井上さんの卒業論文発表

 

「杉原千畝とビザ発行~なぜ杉原千畝はユダヤ人にビザを発行したのか~」鈴木花歩さん(藤野豊 教授)
杉原千畝によるユダヤ人へのビザ発行について、杉原の生い立ちから外務省でのキャリア、1940年のユダヤ人へのビザ発給やその背景、戦後外務省退職後の後半生について、詳細な報告を行いました。当時のドイツ、ソ連など関係国と日本との関係など、当時の日本外交の状況について、突っ込んだ議論が行われました。

鈴木さんの卒業論文発表

鈴木さんの卒業論文発表

 

「本多公栄氏の教育実践とその現代的意義」清野信彦さん(藤野豊 教授)
教育実習に向けて「教育実践」に関する文献を読み進める中で出会った、本多公栄の教育実践について、報告を行いました。本多の教育観の特徴として、教師が価値観を強制しない「育てる教育」を重視する姿勢を挙げました。1972年に本多の行った「ぼくらの太平洋戦争実践」の教育実践を紹介し、「子どもにわからせる」授業と「子どもがわかる」授業を比較しながら、後者の意義や教師による教材研究の意義について分析しました。

清野さんの卒業論文発表

清野さんの卒業論文発表

 

「異文化コミュニケーションの問題点 ~アサーティブコミュニケーションを解決策として~」長谷川達也さん(富川尚 教授)
異文化間の平和的共生を志向する異文化コミュニケーション学の発展から自文化中心主義、多文化主義の考え方とその限界を分析した上で、自他共にもお互いの権利を尊重するアサーティブコミュニケーションの可能性を述べました。質疑では、アサーティブコミュニケーション、提唱された背景や現代的意義などについて、議論が行われました。

長谷川さんの卒業論文発表

長谷川さんの卒業論文発表

 

* ()内は指導教員

いずれの報告に対しても活発な議論、専門分野を越えたさまざまな意見交換が行われ、最後に報告者の皆さんにあらためて拍手が送られました。(国際文化学科教授 一戸信哉)

発表者の1人、鈴木花歩さんからのコメント
「私は子供のころから興味のあった杉原千畝に関して卒業論文を書きました。あまり知られていない人物だったのですが、生誕の地である岐阜での調査は、本だけでは分からないことを知るいい機会になりました。この卒業論文は私にとって大きな財産です。」

 

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